メンズエステ経営者・セラピストの税務調査|無申告と外注費を元国税調査官が解説
著者:市田佳祐(税理士・元国税調査官)
「セラピストへの支払を外注費として処理しているが、このままで問題ないのか」「日払いの手渡しだから、申告しなくても分からないと思っていた」「税務署から連絡が来たが、店の何を、自分の何を見られるのか分からない」
メンズエステの経営者の方からも、セラピストとして働く方からも、このようなご相談をいただくことがあります。この業界では業務委託や日払いが用いられることがあり、店とセラピストの双方に税務上の論点があります。そして重要なのは、店の帳簿とセラピスト側の収入記録が、互いの確認材料になる関係にあることです。
この記事では、元大阪国税局で調査事務に従事した税理士(元国税調査官)が、経営者・セラピストの両方の立場から、税務調査で問題になりやすい論点と対応を解説します。
結論:店舗もセラピスト個人も税務調査の対象になり得る。互いの記録が確認材料になる構造のため、日払い・手渡しでも報酬は把握され得る
先に結論をお伝えします。メンズエステの店舗運営者も、業務委託で働くセラピスト個人も、税務調査の対象になり得ます。事業規模にかかわらず、申告内容や資料情報などに応じて調査の対象となる可能性があります。
この業態の核心は、双方向の把握構造です。店側の売上は、予約サイトやSNSで公表された在籍人数・予約枠・口コミ件数、ルーム数と稼働時間、タオルやオイルなど施術回数と連動する消耗品から推測され得ます。一方、セラピストの報酬は、店側の帳簿や支払台帳から把握され得ます。
店側が外注費等として帳簿に記録している場合、その記録はセラピスト側の収入を確認する有力な資料になります。「日払いの手渡しだから記録がない」と考えていても、支払った側の帳簿や日払い明細には記録が残り得るのです。
この記事は、経営者の方(第3・4章)とセラピストの方(第5章)のどちらにも対応しています。ご自身の立場の章からお読みいただけます。
この記事でわかること
経営者の方向け
- 予約サイトの公表情報・ルーム数・消耗品から売上が推測されるしくみ
- セラピストへの支払が外注費か給与かの判断基準と、給与認定の影響
- 現金・送金アプリ受取の売上計上とインボイスへの対応
セラピストの方向け
- 日払い・手渡しの報酬が店の記録から把握される理由と、申告の要否の考え方
- 経費として認められる支出の考え方と記録の残し方
- 無申告だった場合に今からできる対応と加算税のしくみ
第1章 メンズエステの税務の特徴:店とセラピストは互いの記録で裏付け合う
国税庁「令和6事務年度における所得税及び消費税調査等の状況」(令和7年12月公表・全国計)によると、所得税の調査等の件数は実地調査と簡易な接触を合わせて73万6千件、追徴税額の総額は1,431億円と過去最高になっています。実地調査(特別・一般)の1件当たり申告漏れ所得金額は1,486万円で、調査対象の選定にはAIも活用されています。
同資料の「事業所得を有する個人の1件当たりの申告漏れ所得金額が高額な上位10業種」には、1位のキャバクラ、3位のホステス・ホスト、6位のバー、9位のスナックなど、接客に関わる業種が並んでいます。
メンズエステという業種そのものは掲載されていませんが、現金を含む受取、業務委託への日払い報酬、そして店側と働き手側のそれぞれについて、所得状況等に応じて申告の要否を検討する必要があるという構造は、これらの業種と共通しています。
なお、この順位は調査1件当たりの申告漏れ所得金額を示すものであり、業種別の調査件数や調査を受ける確率を示すものではありません。
メンズエステの特徴は、店とセラピストの記録が相互に関係していることです。店がセラピストへの支払を外注費として帳簿に計上している場合、その帳簿や支払台帳は、セラピスト側の収入を確認する有力な資料になります。
逆に、セラピスト側の収入記録は、店側の支払先や外注費の実在性を検討する資料になります(セラピスト側の申告だけから、店の売上額が直接裏付けられるわけではありません)。一方の記録が、もう一方の申告の確認材料になる。調査する側から見ると、そういう業態です。
第2章 調査官が重点的に確認するポイント(元調査官の視点)
(1)予約サイト・SNSの公表情報との整合
在籍セラピストの人数、予約枠の埋まり具合、口コミやレビューの件数、料金表。集客のために公表されているこれらの情報は、誰でも見ることができ、調査官も例外ではありません。公表された規模感と申告された売上との間に説明のつかない差があれば、その理由が確認されます。
詳しい考え方は税務調査で通帳がどこまで確認されるかを解説した記事もあわせてご覧ください。
(2)ルーム数・稼働時間と消耗品からの推測
施術用のルーム数と営業時間からは、提供できる施術数の上限が見えます。タオルやリネンのクリーニング数量、オイルの仕入量、使い捨て備品の消費量は、施術回数と連動する材料です。在庫や廃棄などを調整したうえで、これらの数量から施術回数の見当をつけ、単価を乗じて売上規模が検討されることがあります。
(3)現金・送金アプリの受取と日払いの出金
現金での受取や、個人間送金アプリでの決済も、レジ記録・予約台帳・口座への入金と突き合わせて確認されます。また、セラピストへの日払いは店側の現金出金として記録され、日払い明細や台帳が支払の証拠になります。この記録は、後述するとおりセラピスト個人の収入の把握にも直結します。
私が大阪国税局で調査事務に従事していた経験から言えば、業務委託が中心の業態では、店側の調査で把握した支払記録が、働き手個人の申告状況の確認につながることは自然な流れです。「店は店、自分は自分」と考えていても、記録は一つにつながっています。
だからこそ、店側は支払記録を整え、セラピスト側は、申告が必要な場合に受け取った報酬を適切に申告することが、双方にとっての備えになります。
この点に関わる制度が推計課税です。以下は個人事業者の所得税における取扱いですが、法人が店舗を運営している場合にも、法人税法第130条・第131条に青色申告書に係る更正と推計による更正・決定の規定があります。
帳簿や記録がない場合や、その内容が信頼できず、実額による所得金額の把握が困難な場合、税務署は消耗品の数量などの間接的な資料から所得を推計して更正・決定を行うことがあります(所得税法第156条)。
一方、青色申告書に係る事業所得等は、所得税法第156条による推計の対象から除外されており、原則として、帳簿書類を調査し、その計算に誤りがあると認められる場合に限って更正することができます(所得税法第155条)。ただし、帳簿書類の不備などにより青色申告の承認が取り消された場合には、推計課税が行われる可能性があります。
したがって、青色申告の承認を受けるだけでなく、日頃から適正な帳簿と記録を作成・保存しておくことが重要です。
現金売上や回数券・前売りチケットの計上時期は、美容室・サロンでも定番の論点です。店舗型サロンでの見られ方は次の記事をご覧ください。
(関連記事:美容室・サロンに税務調査は来る?|元国税調査官が現金売上と業務委託の注意点を解説)
第3章 【経営者】売上の計上:現金・送金アプリ・指名料・回数券
施術の対価は、原則として施術を提供した時点で、現金・キャッシュレス・送金アプリ等の受取方法を問わず、売上総額を計上します。決済代行会社から手数料控除後の金額が入金される場合も、顧客から受け取るべき総額を売上とし、決済手数料を必要経費として処理します。
指名料、オプション料金、延長料金については、契約上、店に帰属する対価であれば店の売上に計上します。セラピスト本人に帰属し、店が回収を代行しているだけの契約であれば、店の売上ではなく預り金として整理します。
回数券や前払いのコース券(商品または役務の提供を約した証券等に該当するもの)を発行して代金を受け取った場合、個人事業者の所得税では、原則として発行した年分の総収入金額に算入します。
ただし、発行年ごとに区分して管理し、あらかじめ所轄税務署長の確認を受けたうえで継続して処理するなど、一定の要件を満たす場合には、実際に施術を提供したときに収入計上する取扱いも認められています。
この取扱いでは、発行に係る年以後4年を経過した年(それ以前に有効期限が到来するものについては、その有効期限の翌日の属する年)の12月31日時点で未利用のものについて、その対価を同年分の総収入金額に算入します。なお、消費税は券の発行時ではなく、実際に施術を提供した時点で課税関係が生じます。発行額・利用額・未利用額を区分して記録しておくことが重要です。
第4章 【経営者】セラピストへの支払:外注費か給与か・源泉徴収
セラピストへの支払が外注費なのか給与なのかは、この業態の調査で確認されやすい中心論点です。区分は契約書の名称ではなく実態で判断されます。
判断要素としては、他人が代替して業務を行えるか、時間的な拘束や業務の進め方について指揮監督を受けるか、完成前に成果物が滅失しても報酬を請求できるか、材料や用具を供与されているか、といった点を総合的に勘案するものとされています(消費税法基本通達1-1-1)。
シフトを店が決め、施術の手順やマニュアルを店が定め、オイルや備品も店が用意している場合、外注費という名目でも給与と判断される要素が積み重なっていきます。
給与と認定された場合、源泉徴収義務がある支払者については、源泉所得税の徴収漏れが生じます。また、消費税の一般課税では、その支払いは課税仕入れに該当しないため、仕入税額控除の対象になりません。なお、一般的なエステ施術の業務委託料は、通常、所得税法第204条第1項に列挙された源泉徴収対象の報酬・料金には該当しません。
ただし、実際の業務内容が同項に掲げるホステス等の業務その他の対象業務に該当する場合や、契約の実態が雇用に当たる場合は、源泉徴収が必要になります。契約名称だけでなく、具体的な業務内容と勤務実態を確認する必要があります。
接客業の店舗運営に共通する売上・報酬・源泉徴収の論点は、ホストクラブ・キャバクラ経営者の税務調査を解説した記事でも詳しく整理しています。
セラピストへの支払が外注費か給与かという判定は、業種を問わず同じ枠組みで行われます。判定基準と否認された場合の税負担は、次の記事で詳しく解説しています。
(関連記事:外注費か給与か|税務調査の判定基準と否認リスクを元国税調査官が解説)
第5章 【セラピスト】日払い報酬も所得計算の対象になる
実態が業務委託に該当する場合、受け取った報酬は給与のように年末調整されないため、自ら収入と必要経費を集計する必要があります。ただし、所得税の確定申告義務は、各種所得の金額、所得控除、源泉徴収税額などを踏まえて判定されるため、業務委託報酬を受け取ったすべての方に申告義務が生じるわけではありません。
たとえば、年末調整済みの給与を1か所から受け、給与収入が2,000万円以下であるなど一定の要件を満たす給与所得者で、給与所得・退職所得以外の所得の合計額が20万円以下の場合には、所得税の確定申告が不要となることがあります(この場合でも、住民税の申告が必要となることがあります)。
なお、この20万円は収入ではなく所得(収入から必要経費を差し引いた金額)で判定し、複数の店から受け取っている場合は合算します。
所得区分は、継続性だけでなく、自己の計算と危険において独立して行っているか、営利性・反復継続性・事業規模があるか、帳簿書類を作成・保存しているかなどを踏まえ、社会通念上事業と認められるかにより、事業所得または業務に係る雑所得に区分します。
日払い・手渡しであっても、店側が帳簿や日払い明細に支払を記録している場合、その記録から収入が把握され得ます。店に税務調査が入れば、支払先一覧としてセラピストの氏名と支払額が把握され、個人の申告状況の確認につながり得ます。
経費については、施術に使う消耗品、店までの交通費、業務のために購入した衣装や備品など、収入を得るために直接必要な支出が対象になります。一方、私的な美容や日常の被服との区分が曖昧な支出は、事業関連性を説明できるかが分かれ目です。レシートの保存に加えて、何のための支出かをメモしておくと、申告の根拠になります。
掛け持ちで複数の店から報酬を受け取っている場合、申告の要否を判定する際には、すべての店からの収入と必要経費を合算して所得を計算し、申告が必要な場合はその合計額を申告します。同じ立場の論点はキャバ嬢・ホストの無申告と確定申告を解説した記事でも扱っていますので、あわせてご覧ください。
第6章 消費税とインボイス(経営者・セラピスト共通)
施術の対価は消費税の課税売上です。納税義務は、原則として基準期間(個人事業者は前々年)の課税売上高が1,000万円を超えるかどうかで判定します。
個人事業者の場合、前年1月1日から6月30日までの特定期間の課税売上高が1,000万円を超える場合にも課税事業者となることがあり、課税売上高に代えてこの期間の給与等支払額により判定することもできます。また、免税事業者がインボイス発行事業者として登録した場合は、原則として登録日から課税事業者となり、売上規模にかかわらず申告が必要になります。
セラピストの報酬も、事業として行う役務提供の対価であれば消費税の課税売上に当たり、報酬額が大きくなれば納税義務の判定が必要になります。店側にとっては、その支払が給与ではなく、真に業務委託による課税仕入れに該当する場合、一般課税では、セラピストがインボイス発行事業者かどうかによって仕入税額控除の扱いが変わります(経過措置があります)。契約時に登録の有無を確認しておくことが実務的です。
第7章 無申告だった場合の対応(経営者・セラピスト共通)
申告が必要だったのに申告していなかった場合、期限後申告のタイミングによって加算税の負担が変わります。実地調査に係る調査通知(対象税目・対象期間等の通知)を受ける前に自主的に期限後申告をすれば、無申告加算税は原則5%です(延滞税は別途生じます)。
調査通知を受けた後、調査による決定を予知する前の期限後申告では、令和5年分以後、納付すべき税額のうち50万円以下の部分は10%・50万円超300万円以下の部分は15%・300万円超の部分は25%、決定を予知した後・決定後は同15%・20%・30%と、対応が遅れるほど段階的に重くなります(過年度分は法定申告期限により区分が異なります)。
さらに、一定期間内に無申告加算税または重加算税を課されたことがある場合には、無申告加算税が10%加重されることがあります。
また、税務調査で売上げ(業務に係る収入を含みます)に関する調査に必要な帳簿の提示を求められたにもかかわらず提示しない場合や、その帳簿に記載された売上金額が実際の売上金額の3分の2未満または2分の1未満である場合には、その記載割合に応じて5%または10%が加算されることがあります。
売上や報酬の計上漏れがあっただけで、直ちに重加算税が課されるわけではありません。二重帳簿の作成、帳簿書類の破棄・隠匿、虚偽記載、架空名義の使用など、課税の基礎となる事実を隠蔽または仮装したと認められる場合や、これらの事情を総合して申告時の隠蔽・仮装が合理的に推認される場合には、重加算税の対象となる可能性があります。
また、偽りその他不正の行為により税額を免れた場合には、増額更正や決定ができる期間が7年となります。調査で確認される期間については税務調査は何年分さかのぼるのかを解説した記事をご覧ください。セラピストの方は、日払い明細や送金アプリの履歴、シフトの記録から収入を再整理できます。心当たりのある方は、調査の連絡が来る前の自主的な対応が、負担を抑える近道です。
無申告の状態からのご相談は多くいただいています。記録が乏しい場合でも組み立て直せることがあります。
(関連ページ:無申告の状態からのご相談)
第8章 調査の連絡が来たときの対応
税務署からの接触には、実地調査の調査通知のほか「お尋ね」などの文書照会もあります。その接触が実地調査なのか行政指導なのかを見極めて対応することが出発点です。文書照会への対応は税務署からお尋ねが届いたときの対応を解説した記事をご覧ください。
経営者の方は、予約台帳、レジ・決済記録、セラピストへの日払い明細・支払台帳、消耗品の仕入記録、通帳を対象期間分そろえます。セラピストの方は、受け取った報酬の記録(日払い明細・送金履歴・自分のメモ)、経費のレシート、通帳を整理します。営業や施術の予定と重なるなど正当な理由がある場合には、日程の調整を求めることもできます。
調査の過程では、調査官から聴き取りの内容を質問応答記録書という書面にまとめられることがあります。この書面は後の課税処分や重加算税認定の判断に影響する重要書類です。
筆者は共著『税務調査の現場で役立つ!質問応答記録書のポイントと税理士の対応策』(税務研究会出版局、2025年12月)でその実務対応を詳しく解説していますが、要点は、記載内容が事実と一致しているかを十分に確認し、誤りがあればその場で訂正を求めることに尽きます。
そして、調査の連絡が来た段階で、税務調査への対応経験のある税理士に相談することをおすすめします。
よくある質問
個室2〜3室の小さな店にも税務調査は来ますか?
規模の大小にかかわらず、税務調査の対象となる可能性があります。予約サイトの公表情報や消耗品の仕入など、申告内容と資料情報の間に不整合があれば、小規模な店でも調査対象として選定されることがあります。規模よりも、申告内容の整合性が重要です。
日払い・手渡しの報酬でも、税務署に把握されますか?
把握される可能性があります。店側が支払を経費として帳簿に記録している場合、日払い明細や支払台帳が残ります。店に税務調査が入れば、支払先としてセラピストの氏名と金額が把握され、個人の申告状況の確認につながり得ます。受け取る側に記録がなくても、支払う側に記録が残り得るのです。
セラピストは確定申告が必要ですか? 経費は何が認められますか?
業務委託の報酬は年末調整されないため、自ら収入と経費を集計して申告の要否を判定します。所得の金額や所得控除によっては申告が不要な場合もあります(年末調整済みの給与を1か所から受け、給与収入が2,000万円以下であるなど一定の要件を満たす給与所得者で、給与所得・退職所得以外の所得の合計額が20万円以下の場合など。
住民税の申告は別途必要なことがあります)。施術用の消耗品、店までの交通費、業務用の衣装など、収入を得るために直接必要な支出は経費になり得ますが、私的な支出との区分を説明できることが前提です。レシートと用途のメモを残しておきましょう。
セラピストへの支払に、源泉徴収は必要ですか?
一般的なエステ施術の業務委託料は、通常、所得税法第204条第1項に列挙された源泉徴収対象の報酬・料金には該当しません。ただし、実際の業務内容がホステス等の業務など同項の対象業務に該当する場合や、契約の実態が雇用に当たる場合は、源泉徴収が必要になります。契約名称だけでなく、業務内容と勤務実態の確認が必要です。
セラピストがインボイス登録していない場合、店側はどうなりますか?
給与ではなく業務委託料に該当することを前提として、消費税の一般課税を適用する店では、インボイス発行事業者でないセラピストへの支払は原則として仕入税額控除の対象外となります(一定割合を控除できる経過措置があります)。簡易課税や2割特例を適用する場合は影響の仕方が異なるため、店の申告方式とあわせて確認が必要です。
数年間無申告です。今からどうすればよいですか?
調査通知を受ける前に自主的に期限後申告をすれば、無申告加算税は原則5%に抑えられます(延滞税は別途生じます)。日払い明細や送金履歴、通帳から収入を再整理し、できるだけ早く申告することをおすすめします。税理士に相談しながら進めると確実です。
まとめ:店とセラピスト、どちらの記録も一つにつながっている
メンズエステの税務調査で確認されやすいのは、予約サイトの公表情報・ルーム数・消耗品と売上の整合、セラピストへの支払の外注費・給与の区分、そしてセラピスト個人の申告状況です。店とセラピストの記録は相互の確認材料になっており、日払い・手渡しであっても、支払った側の記録から報酬は把握され得ます。
裏を返せば、店側は支払記録と帳簿を整え、セラピスト側は、申告が必要な場合に受け取った報酬を適切に申告しておけば、双方にとって調査は恐れるものではなくなります。申告に不安がある方や調査の連絡を受けた方は、記録の整理と並行して早めに専門家へ相談してください。
メンズエステに限らず、税務調査の連絡が来てお困りの方は、大阪で税務調査に強い税理士のページに、ご相談から解決までの流れと料金を掲載しています。
引用・参考文献
- 国税庁「令和6事務年度における所得税及び消費税調査等の状況」(令和7年12月公表)
- 所得税法第155条、第156条、第204条第1項、所得税基本通達35-2
- 国税庁タックスアンサーNo.2200「収入金額とその計算」、No.2792「源泉徴収が必要な報酬・料金等とは」
- 国税庁「申告所得税及び復興特別所得税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)」
- 所得税基本通達36・37共-13の2、国税庁質疑応答事例「商品券の発行に係る売上げの計上時期」
- 消費税法基本通達1-1-1
- 国税庁タックスアンサーNo.6501「納税義務の免除」、No.2024「確定申告を忘れたとき」、No.2210「必要経費の知識」
- 国税庁「インボイス制度に関するQ&A」
- 国税庁「確定申告が必要な方」
- 法人税法第130条、第131条
- 国税通則法第70条
- 市田佳祐ほか『税務調査の現場で役立つ!質問応答記録書のポイントと税理士の対応策』(税務研究会出版局、2025年12月)
この記事を書いた人
市田佳祐(いちだ けいすけ)
税理士。市田税理士事務所代表(大阪市)。平成23年に大阪国税局入局後、令和5年6月まで国税職員として勤務し、同年8月に税理士登録(登録番号151935、近畿税理士会所属)。大阪国税局では資料調査課にて国際課税や富裕層に対する調査事務に従事したほか、総務課、個人課税課において税務行政に関する事務に従事。1級FP技能士。
共著に『税務調査の現場で役立つ!質問応答記録書のポイントと税理士の対応策』(税務研究会出版局、2025年12月)、『税務弘報』2026年3月号(中央経済社)に寄稿。

