著者:市田佳祐(税理士・元国税調査官/大阪国税局 資料調査課 出身)

「何年も確定申告をしていない。今さらどう動けばいいのか分からない」
「税務署から連絡が来る前に、なんとかしたい」
「相談したら怒られるのではないか、余計に悪くなるのではないかと不安で動けない」

このページは、そのような方のためのご案内です。最初にお伝えしたいのは、当事務所は無申告の状態を責めることはしない、ということです。忙しさや体調、やり方が分からなかったなど、申告が止まってしまう事情は人それぞれです。必要なのは反省の言葉ではなく、数字の整理と、正しい順序での立て直しです。元国税調査官(大阪国税局 個人課税課・資料調査課)の税理士が、その整理をお手伝いします。

結論:税務調査の事前通知を受ける前の自主申告が、負担を抑えやすくなります

無申告の立て直しは、動くタイミングで負担が大きく変わります。税務署から税務調査の事前通知を受ける前に自主的に期限後申告をすれば、無申告加算税は原則5%です。一方、更正・決定を予知した後の申告や、税務署から決定を受けた場合は、基本税率が15%〜30%に上がり、隠蔽・仮装があると判断されれば無申告加算税に代えて原則40%の重加算税が課されます。無申告を繰り返している場合などにはさらに加重されることもあります(国税庁タックスアンサーNo.2024)。なお、税務署から届く「お尋ね」などの連絡には、税務調査ではなく行政指導に当たるものもあり、その場合の期限後申告は原則5%として扱われることがあります。通知や連絡の内容は個別に確認する必要があります。まずは初回相談で、状況の整理からご一緒します。

このページでわかること

  • 放置した場合と自主的に申告した場合で、加算税がどれだけ違うか
  • 税務署が無申告をどのように把握するか(元国税調査官の視点)
  • 当事務所のサポートの流れと費用の考え方、よくある不安への回答

1. こんな方がご相談の対象です

業種や規模は問いません。次のような方から、実際にご相談をいただいています。

  • フリーランス・個人事業主で、開業からずっと申告していない方
  • ネット販売・せどり・配信・同人活動などの副業収入を申告していない会社員の方
  • キャバクラ・ホスト・ラウンジなどナイトワークの収入を申告していない方
  • 一人親方・職人・ドライバーなど、源泉徴収のない報酬を受け取っている方
  • 数年前に一度申告をやめてしまい、再開のきっかけを失っている方
  • すでに税務署から「お尋ね」文書や調査の連絡が来てしまった方

ご自身の業種で調査がどのように行われるかは、業種別の解説記事もご参照ください(関連記事:税務調査の確率は何%?|元国税調査官が「あなたに調査が来る可能性」の見積もり方を解説)。

2. 放置と自主申告で、負担はここまで変わります

期限後申告の無申告加算税は、申告するタイミングで税率が変わります(国税庁タックスアンサーNo.2024。令和5年分以降の税率)。

申告のタイミング 無申告加算税の基本税率
税務調査の事前通知を受ける前に自主的に期限後申告 原則5%
事前通知の後、更正・決定を予知する前に申告 10%(50万円超300万円以下の部分15%、300万円超の部分25%)
更正・決定を予知した後に申告した場合、または税務署から決定を受けた場合 15%(50万円超300万円以下の部分20%、300万円超の部分30%)
隠蔽・仮装があると判断された場合 無申告加算税に代えて重加算税 原則40%
申告するタイミングと無申告加算税の基本税率 事前通知前に自主申告 原則5% 事前通知後〜予知前 10〜25% 予知後の申告・決定 15〜30% 隠蔽・仮装(重加算税) 原則40% ※金額区分により税率が変わります。繰り返しの無申告等はさらに加重(重加算税は50%となる場合)。 出典:国税庁タックスアンサーNo.2024(令和5年分以降)
動くタイミングによる無申告加算税の基本税率の比較(加重措置がある場合は上記より高くなります)

このほか、納付が遅れた日数に応じた延滞税がかかります。また、令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来する国税について、前年分・前々年分のいずれにも無申告加算税等が課されている場合や、過去5年以内に無申告加算税・重加算税を課されたことがある場合には10%が加重され、無申告に係る重加算税は50%となることもあります。帳簿の提示・提出がない場合などの加重措置もあるため、上記はいずれも基本となる税率です。また、55万円・65万円の青色申告特別控除は期限内申告が要件のため、期限後申告では他の要件を満たしていても原則10万円になるなど、本来受けられたはずの特典を失う影響もあります。逆に、法定申告期限から1か月以内の自主的な期限後申告で一定の要件を満たす場合には、無申告加算税がかからないこともあります。

忘れられがちですが、源泉徴収されている報酬(原稿料・外交員報酬など)がある方は、申告すれば税金が還付される年が含まれていることもあります。確定申告の義務がない方が源泉徴収された所得税の還付を受けるための還付申告は、その年の翌年1月1日から5年間提出できますので、「申告すれば追加で払うだけ」とは限りません。

ご自身がどの段階かを確認するだけでも、対応の順序は整理できます

税務署からの連絡の有無や、申告していない年数が分かるだけでも、進め方の見通しはお伝えできます。まずは現在の状況をお知らせください。顧問契約・税務調査に関する初回相談は無料です。

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3. なぜ「事前通知を受ける前」に動くべきか:元国税調査官の視点

私が大阪国税局の資料調査課(国税局で大口事案・悪質事案を担当する部署。通称「料調」)や個人課税部門で調査事務に従事していた経験から言えば、無申告は「申告書が出ていないから情報がない」状態ではありません。国税庁・税務署には、支払調書(報酬・原稿料・外交員報酬等)をはじめとする各種の資料情報が集まります。また、必要に応じて、取引先や委託販売先、プラットフォーム事業者、金融機関等への照会や調査により、売上げや資金の流れが確認されることがあります。国税庁は、収集した資料情報の分析や調査対象の選定にAIを活用しています。国税庁「令和6事務年度における所得税及び消費税調査等の状況」(令和7年12月公表)によると、所得税無申告者に対する特別・一般の実地調査では、1件当たりの申告漏れ所得金額は2,992万円でした。追徴税額は総額252億円、1件当たり524万円で、この2項目はいずれも過去最高となっています。申告書を提出していないこと自体が、把握されない理由になるわけではないというのが実務の感覚です。

だからこそ、税務署から税務調査の事前通知を受ける前に、自分から申告することに大きな意味があります。原則5%と、更正・決定を予知した後の15%〜30%との差は、税額が大きいほど重くのしかかります。ただし、自主的に申告した場合でも、過去に隠蔽・仮装や偽りその他不正の行為があったと判断されれば、重加算税や7年の期間制限が問題となる可能性はあります(関連記事:税務調査は何年分さかのぼる?|元国税調査官が3年・5年・7年の違いと決まり方を解説)。

4. サポートの流れ:4つのステップ

ステップ1:初回相談(無料)
現在の状況(申告していない年数、収入の種類、資料の有無、税務署からの連絡の有無)を伺います。オンライン対応のため、大阪・京都・兵庫・奈良・和歌山はもちろん、全国からご相談いただけます。この段階で、おおよその進め方と見通しをお伝えします。なお、個別具体的な税務判断やセカンドオピニオンのみをご希望の場合は、有料のスポット相談として承ります。

ステップ2:資料の整理
通帳、売上データ(振込明細、プラットフォームの管理画面、支払調書など)、経費の資料を一緒に整理します。資料が残っていない期間があっても、諦める必要はありません。入手し直せるもの(取引先への再発行依頼、金融機関の取引明細など)と、合理的に整理するものを仕分けて進めます。

ステップ3:申告書の作成・提出
年分ごとに所得を計算し、期限後申告書を作成・提出します。消費税の申告義務がある場合はあわせて対応します。納税資金に不安がある場合の考え方(分割納付の相談等)についてもご案内します。

ステップ4:申告後の対応
申告後に税務署から問い合わせや確認があった場合の対応もサポートします。仮に調査に発展した場合も、調査対応の経験を踏まえて立会いから終了まで対応します(すでに調査の連絡が来ている方は、初回相談の段階でその旨をお知らせください。進め方が変わります)。

5. 費用について

顧問契約・税務調査に関する初回相談は無料です。ただし、個別具体的な税務判断、セカンドオピニオン等はスポット相談として有料にて承ります。期限後申告の作成・提出をご依頼いただく場合の費用は、申告する年数・収入の種類・資料の状況によって異なるため、初回相談で状況を伺ったうえで、着手前にお見積りを提示します。ご依頼内容に応じて、当事務所で対応するほか、必要に応じて外部専門家との連携も検討し、状況に応じた適切な対応を提供します。

よくある質問

Q1. 何年分を申告すればよいですか?

A. まずは直近5年分を中心に、申告状況と資料を確認します。所得税の更正・決定ができる期間は、原則として法定申告期限から5年、偽りその他不正の行為がある場合は7年とされているためです。ただし法律上「必ず5年分」と決まっているわけではなく、どの年分を整理・申告するかは、収入の状況や法定申告期限、資料の内容を踏まえて個別に判断します。

Q2. 領収書や売上の資料がほとんど残っていません。それでも申告できますか?

A. 再取得できる資料や客観的な記録をもとに、申告できる場合があります。通帳の入出金、取引先からの支払調書や支払明細の再発行、プラットフォームの取引履歴など、後からたどれる資料は意外と多くあります。ただし、資料が不足している部分については必要経費が認められないなど、申告内容に影響が出ることもあります。資料がないことを理由に放置するほうが結果的に不利になりやすい点も含め、対応できる範囲をご説明します。

Q3. 相談したら税務署に通報されたり、怒られたりしませんか?

A. ご相談いただいたことだけを理由に、当事務所から税務署へ連絡することはありません。税理士には、正当な理由なく業務上知り得た秘密を漏らしてはならない守秘義務があります。また、当事務所は無申告の経緯を責めることはしません。私は調査する側にいた人間ですので、どう整理すれば税務署とのやり取りが穏当に進むかという観点でサポートします。

Q4. 家族や勤務先に知られずに進められますか?

A. 当事務所との連絡方法や書類の送付先については、可能な範囲で配慮します。ただし、住民税の通知、扶養や社会保険への影響、税務署等からの郵送などにより、ご家族や勤務先に知られる可能性を完全に排除できるわけではありません。想定される点は初回相談の際に個別にご説明します。

Q5. 期限後申告をした後、税務調査は来ますか?

A. 申告すれば調査が来ないという保証はありませんが、自主的に適正な申告をした場合、調査で把握された場合と比べて負担が軽くなる傾向があります。仮に申告後に確認や調査があった場合も、作成した申告の根拠を説明できるように資料を整理しておきますので、対応まで含めてサポートします。

Q6. すでに税務署から「お尋ね」や調査の連絡が来ています。もう遅いですか?

A. 税務署から連絡が来ていても、直ちに手遅れになるわけではありません。事前通知の後であっても、更正・決定を予知する前の自主的な申告には加算税の軽減があります。「お尋ね」などの行政指導なのか、税務調査の事前通知なのか、更正・決定を予知した段階なのかによって取扱いと動き方が変わるため、通知の文面を確認できる状態で、できるだけ早くご相談ください。

Q7. 無申告は、いつかは税務署に把握されますか?

A. 把握される可能性は高まっています。取引先や支払者から提出される支払調書などの資料情報が国税庁・税務署に集まり、必要に応じて取引先、プラットフォーム事業者、金融機関等への照会や調査が行われます。国税庁は資料情報の分析や調査対象の選定にAIを活用しており、申告書を提出していないこと自体が把握されない理由になるわけではありません。国税庁の統計でも、所得税無申告者に対する実地調査の追徴税額は令和6事務年度に過去最高となっています。

Q8. 無申告だと5年さかのぼられるのですか。7年と聞いたこともあります。

A. 所得税の更正・決定ができる期間は、原則として法定申告期限から5年です。偽りその他不正の行為により税額を免れた場合などは7年とされています。したがって通常は直近5年分を中心に整理し、隠蔽・仮装があったと判断される事情がある場合には7年分が問題となり得ます。どの年分を申告するかは、法定申告期限と資料の内容を確認して個別に判断します。

Q9. 期限後申告をすると、住民税や国民健康保険料にも影響しますか?

A. 影響します。所得税の申告内容は市区町村に連携されるため、住民税が新たに課税され、国民健康保険料(税)も所得に応じて算定し直されます。国民年金保険料の免除の判定や、ご家族の扶養の判定に影響することもあります。所得税だけでなく、住民税・社会保険料を含めた負担の見通しを初回相談の段階でご説明します。

まとめ:一番条件が良いのは「今」です

無申告の立て直しは、税務調査の事前通知を受ける前に自主的に期限後申告をすることで、無申告加算税の基本税率を原則5%に抑えられます。更正・決定を予知した後や決定を受けた場合は基本税率が15%〜30%に上がり、隠蔽・仮装があると判断されれば原則40%の重加算税が課されるため、早めに資料の確認を始めることが重要です。資料が十分に残っていない場合でも、通帳や取引履歴、支払明細など再取得できる資料を確認し、対応できる範囲と税務上のリスクをご説明します。まずは現状を話していただくところから始めましょう。

税務調査の連絡が来た方、申告に不安がある方へ

当事務所は、元国税調査官(大阪国税局 資料調査課 出身)の税理士が対応します。ご依頼内容に応じて、当事務所で対応するほか、必要に応じて外部専門家との連携も検討し、状況に応じた適切な対応を提供します。
顧問契約・税務調査に関する初回相談は無料です。ただし、個別具体的な税務判断、セカンドオピニオン等はスポット相談として有料にて承ります。大阪・京都・兵庫・奈良・和歌山ほか関西全域、オンラインで全国対応。

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引用・参考文献

このページを書いた人

市田佳祐(いちだ けいすけ)
税理士。市田税理士事務所代表(大阪市)。平成23年に大阪国税局入局後、令和5年6月まで国税職員として勤務し、同年8月に税理士登録(登録番号151935、近畿税理士会所属)。大阪国税局では資料調査課にて国際課税や富裕層に対する調査事務に従事したほか、総務課、個人課税課において税務行政に関する事務に従事。1級FP技能士。
共著に『税務調査の現場で役立つ! 質問応答記録書のポイントと税理士の対応策』(税務研究会出版局、2025年12月)、『税務弘報』2026年3月号(中央経済社)に寄稿。