海外向けアプリ・ゲーム販売の税金と申告|元国税調査官が消費税の扱いを解説

著者:市田佳祐(税理士・元大阪国税局 資料調査課)

「海外ストアで売れたアプリの収入は、日本で申告が必要なのか分からない」
「海外向けの売上に消費税がかかるのかどうか、判断できない」
「何年も申告しないままで、いまさら不安になってきた」

個人でアプリやゲームを開発し、配信ストアやダウンロード販売サイトを通じて海外のユーザーに販売する方が増えています。国内販売と違って海外向けの売上は税金の扱いが分かりにくく、申告を後回しにしてしまうケースも少なくありません。

この記事では、元大阪国税局の税理士が、海外向けにアプリ・ゲームソフトを販売した場合の所得税と消費税の考え方、そして国外からの入金がどのように把握されるのかを、調査する側の視点も交えて解説します。

結論:海外売上も原則として所得税の課税対象。消費税は顧客の住所等と取引の法的性質で判定

先に結論をお伝えします。非永住者以外の居住者は、国内外で生じたすべての所得が日本の課税対象です。「海外ストア経由だから」「入金が海外からだから」という理由だけで課税を免れることはありません。実際に確定申告が必要かどうかは、所得金額や所得控除、給与所得者の20万円基準などを踏まえて個別に判定します。

一方、消費税については、インターネットを通じて国外に住所等を有する顧客にアプリやゲームを配信・利用許諾する取引は、原則として国外取引に該当し、日本の消費税の課税対象外となります。

ただし、ゲームソフトのダウンロード番号そのものを海外の業者に譲渡する取引は、国内取引かつ課税取引と判断され得ることが、令和6年の国税不服審判所の裁決で示されています。同じ「海外向けのゲーム販売」でも、取引の法的な性質によって消費税の扱いが大きく変わる点に注意が必要です。

この記事でわかること

  • 海外向け販売も日本の所得税の課税対象となる理由と、申告要否の考え方
  • 国外からの入金が国税当局に把握される仕組み(元調査官の内側視点)
  • 国外に住所等を有する顧客への配信の消費税の考え方(国外取引となる原則)
  • ダウンロード番号の転売が課税と判断された裁決と、その分かれ目

第1章 海外向けの売上も、日本の所得税の課税対象

まず所得税の大原則です。非永住者以外の居住者は、所得が生じた場所が国内か国外かを問わず、すべての所得について日本で課税されます(全世界所得課税)。海外の配信ストアやダウンロード販売サイト経由の売上、海外の決済サービスに入金された報酬も、日本での課税対象です。

なお、居住者のうち非永住者(日本国籍がなく、過去10年以内に国内に住所等を有していた期間の合計が5年以下の方)は課税所得の範囲が異なります(タックスアンサーNo.2010)。

アプリ・ゲームの販売収入は、その活動が社会通念上事業と称するに至る程度で行われているかどうかなどにより、事業所得または業務に係る雑所得に区分されます。

会社員の副業として開発している方は、給与収入が2,000万円以下で、給与を1か所から受けており、その給与の全部が源泉徴収の対象となっている方であれば、給与所得及び退職所得以外の所得金額の合計額が年間20万円以下の場合、原則として、所得税の確定申告は不要とされています(所得税法第121条)。

ただしこの特例は所得税だけのもので、住民税には20万円以下の特例がなく、市区町村への申告が必要になることがあります。そもそも自分に調査が来る可能性がどの程度あるのかは、「税務調査の確率」の記事もあわせてご覧ください。

第2章 調査官が重点的に確認するポイント(元調査官の内側視点)

まず理解しておくべきなのは、「海外からの入金だから分からない」という考えは通用しないことです。調査する側がどこを見ているのか、元調査官の視点から解説します。

(1)国外送金等調書:100万円超の入金は税務署に報告されている

国外から日本の銀行口座に100万円を超える送金を受けると、金融機関から税務署に「国外送金等調書」が提出されます。海外ストアから100万円を超える売上入金を継続して受けていれば、その記録は本人の申告の有無にかかわらず税務署に蓄積されていきます。調書と申告内容を照合することで、無申告や申告漏れを把握する端緒となることがあります。

銀行口座の入金がどのように確認されるかは「税務調査と通帳」の記事で詳しく解説しています。

(2)CRSと情報照会:海外口座も把握対象になり得る

CRS(共通報告基準)に基づき、日本の居住者がCRS参加国・地域の報告対象金融機関に保有する一定の金融口座の情報は、外国の税務当局から国税庁に自動的に提供される仕組みが整備されています。すべての海外口座や決済サービスが一律に報告されるわけではありませんが、売上を海外の口座に置いたままにしていても、把握の対象になり得ます。

なお、CRS制度は令和6年度税制改正により見直され、令和8年から改正制度が施行されており、令和9年以後は改正後の制度に基づく金融口座情報の報告・交換が行われます。

また、国税通則法第74条の12第1項に基づく事業者等への協力要請に加えて、令和2年1月からは、国税に関する法令に違反する事実が推測される場合など一定の要件の下で、事業者に取引者の情報の報告を求める制度(国税通則法第74条の7の2)が施行されています。

個別の調査の場面では、国内の取引先等について反面調査が行われることがあり、国外の相手方に関する情報は、租税条約等に基づく外国税務当局との情報交換などにより確認される場合があります。

(3)国際課税の調査現場から見た実感

私が大阪国税局で国際課税に関する調査事務に従事していた経験から言えば、国外との資金のやり取りは、国内の取引よりもむしろ記録が残りやすい領域です。国外送金等調書やCRSなどの制度が整備され、国境をまたぐお金の流れは複数の経路で当局に届いています。「海外だから見えない」のではなく、「海外だからこそ記録が集まる」というのが調査の現場の実感です。

第3章 消費税の原則:国外に住所等を有する顧客への配信は「国外取引」

次に、このテーマで最も質問が多い消費税です。海外の顧客にアプリやゲームを販売すると、「海外への販売だから輸出免税になるのではないか」と考える方もいるかもしれません。しかし、消費税では、まずその取引が国内取引か国外取引かを判定します。

国外取引であれば日本の消費税の課税対象外となり、国内取引であれば、非課税取引に該当するか、課税資産の譲渡等として輸出免税の対象となるかなどを判定します。つまり、国外取引と判定された取引については、輸出免税に該当するかどうかを検討する段階には進みません。

インターネットを介して行うアプリ・ゲームのダウンロード販売やオンラインでの利用許諾は、消費税法上「電気通信利用役務の提供」に位置づけられます。電気通信利用役務の提供については、役務を提供する事業者の所在地ではなく、役務の提供を受ける者(顧客)の住所等が国内にあるか国外にあるかによって内外判定を行います。

したがって、日本の事業者が、国外に住所等を有する顧客(海外在住の個人や外国法人)にアプリやゲームをインターネット経由で配信・利用許諾する場合、その取引は国外取引に該当し、日本の消費税の課税対象外となります。

国内取引に該当する課税資産の譲渡等のうち一定の輸出取引等について消費税を免除する「輸出免税」ではなく、内外判定の段階で日本の消費税の課税対象から外れるということです。

この取扱いは、自分が開発したソフトかどうかによって決まるものではなく、重要なのは、その取引がインターネットを介したソフトウェアの配信・利用許諾という「電気通信利用役務の提供」に該当するかどうかです。

国外取引となる売上は、消費税の課税事業者になるかどうかを判定する課税売上高(基準期間1,000万円)にも含まれません。ただし、インボイス登録をしている場合や課税事業者選択届出書を提出している場合、特定期間の課税売上高等が1,000万円を超える場合などには、基準期間の課税売上高が1,000万円以下でも課税事業者となることがあります。

なお、顧客の住所等が国内か国外かは、顧客が申し出た住所地とクレジットカードの発行国情報を照合するなど、客観的かつ合理的な基準によって判定することとされています(国税庁「国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税関係について」参照)。

なお、令和7年4月から、電気通信利用役務の提供についてプラットフォーム課税が導入されています。対象となるのは、国外事業者がデジタルプラットフォームを介して行う消費者向け電気通信利用役務の提供のうち、特定プラットフォーム事業者を介してその対価を収受する一定の取引です。

国内事業者がデジタルプラットフォームを介して行う取引は、このプラットフォーム課税の対象ではありません。したがって、この記事が想定する日本の事業者による国外顧客向けの配信は、プラットフォーム課税の対象とはならず、内外判定は前述のとおり、役務の提供を受ける者の住所等によって行います。

同じストアを通じた販売でも、国内に住所等を有する顧客への配信は国内取引として課税対象です。ストアの売上データを国内向けと国外向けに区分して管理しておくことが、消費税の判定でも税務調査への対応でも重要になります。

第4章 ダウンロード番号の転売は課税になり得る:令和6年6月24日裁決

ここからが、この記事で最も注意していただきたい論点です。ここで重要になるのが、前章で説明した「まず国内取引か国外取引かを判定し、国内取引であれば次に輸出免税などの適用を判定する」という順序です。そのうえで、消費税の取扱いを分けるのは、自作か他人が開発したものかではなく、取引の法的な性質です。

電気通信回線を介してソフトウェアを配信・利用許諾する「電気通信利用役務の提供」に該当するのか、それともダウンロード番号という無形の資産そのものを譲渡する取引なのかによって、内外判定や輸出免税の取扱いが変わります。

国税不服審判所の令和6年6月24日裁決(東裁(諸)令5第133号・非公表裁決)の事案は、国内の事業者が、国内のゲーム会社が販売するゲームソフトのダウンロード番号等をウェブサイト上で購入し、中国の個人事業主に販売していたというものです。この事業者は、当該売上を消費税の確定申告で免税売上(輸出取引)に含めていました。

審判所は、ダウンロード番号は顧客がゲームソフトをダウンロード等するために要する無形の資産であると位置づけたうえで、利用規約上ゲームソフトは顧客に使用許諾されるものであって譲渡されるものではないことなどから、ダウンロード番号を国外の事業者に譲渡しても非居住者に対する「著作権の譲渡」には当たらないと判断しました。

その結果、この取引はソフトの配信という役務の提供ではなく無形の資産の譲渡として国内取引に該当し、かつ輸出取引(輸出免税)にも該当しない、消費税の課税取引になるとされました。ダウンロード番号そのものの販売は、たとえ売り先が海外でも、消費税がかかる取引と判断され得るということです。

ダウンロードコードやシリアルコードの海外転売を行っていて、その売上を国外取引や輸出免税として扱っている方は、取引の実態がどちらの類型に当たるのか、早めに確認することをおすすめします。誤った区分のまま申告を続けていると、調査で複数年分の消費税をまとめて指摘される可能性があります。

物品を海外に販売する場合は、輸出免税と還付申告という別の論点になります。越境EC全般は次の記事で解説しています。

(関連記事:越境EC・輸出入ビジネスに税務調査は来る?|元国税調査官が論点を解説)

第5章 売上の計上方法:手数料・為替換算の注意点

所得税の申告では、売上の計上方法にも注意が必要です。配信ストアからの入金額は、販売額からストア手数料が差し引かれた後の金額であることが一般的です。ストアが開発者に代わって販売代金を受領し、そこから手数料を差し引いて送金する契約であれば、販売額の総額を売上に計上し、ストア手数料を必要経費として計上する処理が通常考えられます。

ただし、ストア自身が販売主体となり、開発者がストアからロイヤルティや収益分配を受ける契約などでは、収入金額の捉え方が異なる場合があります。ストアとの契約内容を確認し、誰が顧客に対する販売主体なのか、開発者にどの金額の請求権が確定するのかを確認することが重要です。

外貨建ての売上は、原則として取引日の為替レートで円換算します。実務上は、継続適用を条件に一定のレートによる方法も認められていますが、換算方法を途中で恣意的に変えることは避けるべきです。ストアの売上レポート、入金記録、換算に使ったレートの根拠は、そろえて保存しておきましょう。

第6章 海外で源泉徴収された場合:外国税額控除

販売先の国や契約の形態によっては、海外で所得税に相当する税金が源泉徴収されたうえで入金されることがあります。その税金が外国税額控除の対象となる「外国所得税」に該当する場合、日本の確定申告で外国税額控除の適用を受けることにより、一定の範囲で二重課税を調整できます。

適用には、外国で課税されたことを証明する書類などが必要です。租税条約に基づく手続きをストア側に提出することで、源泉徴収の税率が軽減・免除される場合もあります。控除を受けずに放置すると、その分だけ負担が重くなったままになるため、源泉徴収の有無は入金明細で確認しておきましょう。

第7章 無申告のペナルティ:加算税と延滞税

申告義務があるのに確定申告をしないまま税務調査で指摘されると、本来の所得税・消費税(本税)に加えて、次のような負担が生じます。

まず無申告加算税です。令和5年分以後の場合、調査による決定を予知した後に期限後申告をしたときは、納付すべき税額のうち50万円までの部分は15%、50万円を超え300万円までの部分は20%、300万円を超える部分は30%の税率で課されます(調査の事前通知を受けた後、決定を予知する前に申告した場合は10%・15%・25%)。

さらに、前年・前々年にも無申告加算税等を課されていた場合には10%が加重されるなど、繰り返しの無申告には重い措置が用意されています。

また、調査の際に帳簿の提示・提出の求めに応じなかった場合や、帳簿への売上金額の記載が本来の金額の2分の1未満であった場合には10%、2分の1以上3分の2未満であった場合には5%が、無申告加算税に加重される措置もあります。

加えて、収入を隠す目的で記録や書類を破棄するなど、隠蔽・仮装があったと認定されると、無申告加算税に代えて40%の重加算税が課されることがあります。納付が遅れた期間に応じた延滞税もかかります。

一方、税務署から調査の通知が来る前に自主的に期限後申告をした場合、無申告加算税は原則として5%に軽減されます。一般に、調査通知後に対応する場合よりも追加負担を抑えやすくなります。無申告を続けた場合の詳細は「確定申告をしないとどうなるか」の記事で、調査で確認される年分の範囲は「税務調査は何年分さかのぼる?」の記事で詳しく解説しています。

海外に拠点を移して活動する場合は、居住者か非居住者かの判定が課税範囲を左右します。判定基準は次の記事で解説しています。

(関連記事:居住者・非居住者の判定基準|海外移住・海外所得の税務調査リスクを国税OBが解説)

第8章 税務調査の連絡が来たときの対応

税務署から電話や文書で連絡が来たら、まず落ち着いて、調査なのか行政指導(お尋ね等)なのかを確認しましょう。いずれの場合も、無視は避けるべき対応です。放置した場合、申告状況等によっては調査に移行することがあります。また、申告義務があるのに申告しないときは、税務署長が所得金額や税額を決定することがあります。

調査までの間に、ストアの売上レポート、入金記録、経費の領収書、為替換算の根拠など、手元の資料をできる範囲で整理しておきましょう。海外向け販売の場合、国内向けと国外向けの売上の区分資料が特に重要になります。

また、調査の過程では、調査官が納税者の説明を「質問応答記録書」という書面にまとめることがあります。加算税の判断などに影響し得る重要な書面であり、留意点は共著『質問応答記録書のポイントと税理士の対応策』(税務研究会出版局、2025年12月)でも解説していますが、内容をよく確認しないまま署名することは避けるべきです。不安があれば、この段階から税理士に立会いを依頼できます。

物品輸出では消費税が還付される仕組みがあり、その要件は厳格に審査されます。あわせて次の記事もご覧ください。

(関連記事:中古車輸出の消費税還付と税務調査|否認されないための要件を元国税調査官が解説)

第9章 税理士に相談するメリット

海外向け販売の申告は、消費税の内外判定、売上の計上額・計上方法、為替換算、外国税額控除など、国内販売にはない論点が重なります。税理士は、残っている記録から所得を計算し直し、期限後申告の内容を整えられます。調査の連絡が来ている場合には、調査官とのやり取りの窓口となり、指摘事項の妥当性を検討したうえで対応できます。

特に、調査する側の実務を知る国税OB税理士であれば、調査官がどの資料を見て、どこを確認しにくるのかを踏まえた準備ができます。早い段階での相談が、結果的に負担を抑える近道になることが多いというのが実感です。

よくある質問

Q1. 売上はすべて海外ストア経由です。日本での申告は不要ではないですか?

A. 海外ストア経由の売上や海外の決済サービスへの入金も、日本の所得税の課税対象となるかを確認する必要があります。非永住者以外の居住者は、国内外で生じたすべての所得が日本の課税対象です。ただし、非永住者は課税所得の範囲が異なり、また給与所得者の20万円基準などにより所得税の確定申告が不要となる場合もあります。

Q2. 海外向けの売上しかない場合、消費税の申告は必要ですか?

A. 国外に住所等を有する顧客にアプリやゲームをインターネット経由で配信・利用許諾する取引は、原則として国外取引となり、日本の消費税の課税対象外です。国外取引となる売上は課税事業者の判定基準である課税売上高1,000万円にも含まれません。

ただし、国内の顧客向けの売上はその部分が課税対象となるほか、インボイス登録や課税事業者選択届出書の提出など別の理由で課税事業者となっている場合は、消費税の申告が必要となることがあります。

Q3. 他人のゲームのダウンロードコードを海外の業者に販売しています。消費税はかからないですよね?

A. 課税取引と判断され得ます。令和6年6月24日の国税不服審判所裁決では、国内で仕入れたゲームソフトのダウンロード番号を非居住者に販売する取引について、ソフトの配信ではなく無形の資産の譲渡であり、著作権の譲渡に当たらず輸出免税にも該当しない、国内の課税取引と判断されました。国外取引や輸出免税として扱っている方は、取引実態の確認をおすすめします。

Q4. ストア手数料が引かれた入金額をそのまま売上にしてよいですか?

A. ストアが開発者に代わって販売代金を受領し、手数料を差し引いて送金する契約であれば、販売額の総額を売上に計上し、手数料を必要経費とする処理が通常考えられます。ただし、ストア自身が販売主体となり開発者が収益分配を受ける契約などでは、収入金額の捉え方が異なる場合があるため、ストアとの契約内容の確認が重要です。

Q5. 海外で税金が源泉徴収されています。日本でも課税されると二重課税になりませんか?

A. 源泉徴収された税金が外国税額控除の対象となる「外国所得税」に該当する場合、日本の確定申告で外国税額控除の適用を受けることにより、一定の範囲で二重課税を調整できます。適用には外国で課税されたことを証明する書類などが必要です。また、租税条約に基づく手続きにより源泉徴収が軽減・免除される場合もあります。

Q6. 何年も無申告です。税務署から連絡が来る前に申告すれば負担は減りますか?

A. はい。調査の通知前に自主的に期限後申告をした場合、無申告加算税は原則として5%に軽減されます。一般に、調査通知後に対応する場合よりも追加負担を抑えやすくなります。延滞税も納付が早いほど少なくなるため、早めの対応が有利です。

まとめ:「海外だから見えない」のではなく「海外だからこそ記録が集まる」

海外向けのアプリ・ゲーム販売であっても、非永住者以外の居住者については、その所得は原則として日本の所得税の課税対象となります。国外送金等調書による送金情報やCRSによる一定の金融口座情報など、国外取引・国外資産を把握するための情報が国税当局に集約されています。

消費税は、国外に住所等を有する顧客への配信・利用許諾なら原則として国外取引(日本の消費税の課税対象外)となりますが、ダウンロード番号という無形の資産そのものの譲渡は課税と判断され得ることが裁決で示されており、「海外向け=消費税は関係ない」という単純な理解は危険です。

売上の区分管理と記録の保存を整え、心当たりのある無申告があれば、調査の連絡が来る前の自主的な申告をご検討ください。判断に迷う場合は、ひとりで悩まず専門家にご相談ください。

市田税理士事務所は、国税OBの税理士が税務調査対応・無申告のご相談、顧問契約を承っています。

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引用・参考文献

  • 国税庁「国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税関係について(国内事業者の皆さまへ)」(令和8年6月)、同「国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税に関するQ&A」(令和8年6月改訂)
  • 国税庁タックスアンサーNo.2010「納税義務者となる個人」、No.6118「国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税関係」、No.6210「国外取引」、No.6568「プラットフォーム課税」、No.2024「確定申告を忘れたとき」
  • 国税不服審判所 令和6年6月24日裁決(東裁(諸)令5第133号)、T&A master No.1075(税務研究会、2025年5月26日号)
  • 所得税法第121条、消費税法第4条第3項第3号、国税通則法第66条・第68条
  • 市田佳祐ほか共著『質問応答記録書のポイントと税理士の対応策』(税務研究会出版局、2025年12月)

この記事を書いた人

市田佳祐(いちだ けいすけ)
税理士。市田税理士事務所代表(大阪市)。平成23年に大阪国税局入局後、令和5年6月まで国税職員として勤務し、同年8月に税理士登録(登録番号151935、近畿税理士会所属)。大阪国税局では資料調査課にて国際課税や富裕層に対する調査事務に従事したほか、総務課、個人課税課において税務行政に関する事務に従事。1級FP技能士。
共著に『質問応答記録書のポイントと税理士の対応策』(税務研究会出版局、2025年12月)、『税務弘報』2026年3月号(中央経済社)に寄稿。