税務調査で外注費が架空・水増しと指摘されたら?|元国税調査官が対応を解説

著者:市田佳祐(税理士・元国税調査官)

「税務調査で、外注費の一部が架空だと言われた」
「外注先は実在し、振込もしているのに、水増しではないかと疑われている」
「キックバックや資金還流を指摘され、重加算税まで課されるのか不安」

外注費の実在性が問題になる税務調査では、請求書や振込記録があるかだけで結論は決まりません。誰が、いつ、どの業務を行い、その対価としていくら支払い、支払後の資金がどう動いたのかまで確認されることがあります。外注先が実在していても、業務実態や金額に説明できない部分があれば、架空・水増しを疑われる可能性があります。

私は大阪国税局で個人課税や富裕層に対する調査事務に従事した後、税理士として税務調査対応に強みを持っています。この記事では、外注費が架空・水増しと指摘された場合に、何を分けて確認し、どの資料から事実関係を組み立てるべきかを、調査する側の視点も交えて整理します。

結論:外注先の存在だけでなく「業務実態・金額・資金の流れ」を取引ごとに分けて確認する

外注費を架空・水増しと指摘された場合、最初に行うべきことは「外注費が認められるか、認められないか」という二択で考えることではありません。外注先の実在性、実際に行われた業務、実際の対価、支払方法、返金や資金還流の有無を取引ごとに分け、どの部分について事実認定が争われているのかを整理することが重要です。

実際の業務が存在し、対価の一部には合理的な説明ができるのであれば、問題となる範囲が外注費全体とは限りません。一方、相手方と通謀して虚偽の請求書を作成した、実際より大きな金額を帳簿に計上して差額を戻してもらった、といった事実があれば、経費・損金の否認に加えて重加算税が問題となり得ます。

また、所得税・法人税で外注費が認められるかという問題と、消費税の仕入税額控除が認められるかという問題は分けて検討します。本則課税では、課税仕入れの事実に加え、その取引時期に応じた帳簿・請求書等の保存要件を確認する必要があります。

この記事でわかること

  • 架空外注費・水増し外注費・証拠不足をどう区別するか
  • 調査官が外注先・請求書・成果物・資金移動をどう確認するか
  • 外注先への反面調査で確認されるポイント
  • 重加算税が問題になる行為と、単なる誤りとの違い
  • 調査官の指摘を受けた後に整理すべき資料と対応

第1章 架空外注費・水増し外注費は何が違うのか

(1)取引そのものが存在しないケース

典型的な架空外注費は、帳簿や請求書には外注取引が記録されているものの、実際にはその役務提供が存在しないケースです。例えば、作業をしていない相手から請求書だけを受け取り、外注費として計上するような場合です。この場合は、所得税の必要経費や法人税の損金の前提となる実際の費用負担が存在するのかが問題になります。

(2)業務はあるが、計上額が実際の対価より大きいケース

水増し外注費では、外注先が実在し、一定の業務も行われていますが、帳簿上の外注費が実際の対価より大きいことがあります。例えば、実際の外注対価が300万円であるのに500万円を支払った形にし、差額200万円が戻っている場合です。このようなケースでは、業務実態のある300万円部分と差額200万円部分を区別して事実を確認する必要があります。

(3)支払後に資金が戻っているケース

振込記録があるからといって、帳簿計上額と同額の外注費が実在することが確定するわけではありません。外注先へ振り込んだ後、現金や別口座で一部が戻っている場合には、その戻った資金の性質が確認されます。ただし、資金が戻っているという一事だけで、当初の外注取引のすべてが存在しなかったと決められるものでもありません。返金理由、金額、時期、業務内容との対応を確認する必要があります。

(4)単に資料が不足しているケース

契約書や成果物が残っていないことと、取引が存在しないことは同じではありません。資料不足は納税者側の説明を難しくしますが、メール、チャット、工程表、入退場記録、作業日報、納品記録、銀行取引など、別の客観資料から業務実態を確認できることがあります。

(5)外注先の実在と個別取引の実在は分けて考える

外注先が法人として登記されていることや、適格請求書発行事業者として登録されていることは、事業者の存在を確認する資料にはなります。しかし、それだけで自社との個々の外注取引が実在したことまで示すものではありません。

請求書と振込記録があっても、発注内容、実際の作業者、成果物、対価の根拠などを別に確認します。一部に実際の業務がある場合は、取引を一括して判断せず、どの業務が実在し、どの金額まで説明できるかを分けて整理することが重要です。

第2章 調査官が重点的に確認するポイント

(1)外注先は実際に業務を受託しているか

最初に確認されるのは、請求書に記載された外注先が実際に業務を受託し、その契約に基づいて役務が提供されているかです。法人が受託した業務を従業員が担当する場合や、第三者へ再委託する場合もあるため、請求名義人と実際の作業者が一致しないことだけで架空取引とは判断できません。契約関係、再委託の有無、実際の作業内容を確認する必要があります。

(2)何を発注し、何が納品されたのか

契約書、発注書、請求書の記載が抽象的な場合には、業務の具体的内容が確認されます。「業務委託費」「コンサル料」「作業費」といった記載だけでは、何を対価として支払ったのか分からないことがあります。成果物、作業報告、写真、メール、チャット、工程表など、業務の開始から完了までをつなぐ資料があると説明しやすくなります。

(3)外注費の金額はどのように決めたのか

数量、単価、作業日数、工数、成功報酬の計算方法など、契約時にどのような基準で金額を決めたのかが確認されます。外注費が高額であることや、一般的な相場より高いことだけで、架空・水増しと判断できるわけではありません。

重要なのは、実際の業務内容、契約上の対価、支払義務の有無、金額の決定経緯です。支払額の一部が返金されている場合や関係者へ還流している場合には、その理由に加え、戻り先が会社なのか代表者個人なのかなど、資金の最終的な帰属も確認します。

(4)支払後のお金はどこへ動いたのか

外注費の実在性が疑われると、振込後の資金移動が重要になります。外注先から代表者や関係者へ資金が戻っていないか、短期間で現金化されていないか、別の関係会社へ移されていないかなど、取引全体の流れから確認されることがあります。通帳の確認については、税務調査で通帳はどこまで見られるかでも詳しく解説しています。

(5)外注先側の記録と一致するか

本人の帳簿だけで事実が確認できない場合には、取引先等への反面調査が行われることがあります。国税庁の事務運営指針でも、申告内容に関する正確な事実の把握が必要な場合に取引先等を確認する手続が示されています。外注先側の請求書控え、帳簿、入金記録、作業記録などと本人側の説明が一致するかは重要な確認点です。

私が大阪国税局で調査事務に従事していた経験から言えば、外注費の実在性が争点になると、請求書だけではなく、発注時のメールやチャット、工程・納品の記録、請求内容、振込、その後の資金移動を時系列で照合していくことが実務上の分かれ目になります。

例えば、請求書上の作業期間と工程表が合うか、請求金額と単価・数量が対応するか、振込後に不自然な返金がないかといった点を横断して確認します。説明に食い違いがある場合は、その食い違いが生じた箇所を客観資料で一つずつ検証することが重要です。

反面調査の法的な位置づけや対応は、反面調査とは?どんなときに行われるかで整理しています。

第3章 「外注費か給与か」という論点とは別に考える

外注費には、税務調査で別の代表的な論点があります。それが「外注費として処理しているが、実態は給与ではないか」という問題です。これは、外注取引自体は存在するものの、その働き方が雇用に近いのか、独立した事業者への委託なのかを判定する問題です。

これに対し、架空・水増しの問題は、取引そのものが存在するのか、実際の対価はいくらなのかという事実認定が中心です。例えば、実際に仕事をした人へ500万円を支払った場合、その500万円が外注費か給与かは区分の問題です。一方、500万円を支払った形にして200万円が戻っているのであれば、まず実際の対価がいくらなのかという別の問題が生じます。

したがって、税務調査で「外注費が認められない」と言われた場合には、調査官が問題にしているのが、①取引の実在性、②金額の水増し、③給与との区分、④消費税の証憑要件のどれなのかを明確にする必要があります。外注費と給与の判定については、外注費か給与か:税務調査の判定基準と否認リスクをご覧ください。

第4章 所得税・法人税では「支払ったか」と「費用計上できる時期」を分けて確認する

(1)個人事業者は必要経費と債務確定を確認する

個人事業者の事業所得では、所得税法第37条により、総収入金額を得るため直接に要した費用や、その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用が必要経費の基本となります。国税庁No.2210では、必要経費は原則としてその年に債務が確定した金額とされています。

したがって、外注業務が完了し、支払義務と金額が確定していれば、未払でもその年の必要経費となることがあります。反対に、振込済みであっても、役務提供や支払義務の実態がなければ、外注費としての計上が認められるとは限りません。

(2)法人も支払日だけでなく債務確定を確認する

法人税法第22条第3項の販売費、一般管理費その他の費用については、事業年度終了の日までに債務が確定しているものが損金算入の基本です。国税庁No.5387では、債務の成立、具体的な給付原因事実の発生、金額を合理的に算定できることの3要件が示されています。

そのため、外注費の調査では、実際に送金したかだけではなく、どの業務がいつ完了し、いつ支払義務と金額が確定したのかも確認します。架空取引や実際の対価を超えて仮装された部分は、この前提自体が問題になります。

なお、外注費が売上原価を構成する場合には、債務が確定していることだけで当期の必要経費・損金となるとは限りません。例えば、期末時点で完成していない工事等に係る外注費は、仕掛品や未成工事支出金等として処理し、完成・引渡し時に売上げに対応する原価へ振り替えることがあります。実際に発生した費用であっても、計上する年分・事業年度は別途確認する必要があります。

(3)戻った資金の帰属によって別の課税関係が生じることがある

水増しした外注費の差額が戻っている場合には、その差額を外注費から除くだけで検討が終わるとは限りません。会社に戻ったのか、代表者個人へ帰属したのか、別の支払に充てたのかによって、役員給与、貸付金その他の処理が問題となることがあります。

第5章 消費税は取引時期と課税方式を分けて確認する

本則課税における消費税法第30条の仕入税額控除は、実際の課税仕入れ等があることを前提とします。役務提供が存在しない架空取引であれば、請求書の形式だけを整えても、実在する課税仕入れの根拠にはなりません。

(1)保存要件は取引時期によって異なる

仕入税額控除の保存方式は、令和元年9月30日までは請求書等保存方式、令和元年10月1日から令和5年9月30日までは区分記載請求書等保存方式、令和5年10月1日以後は適格請求書等保存方式です。過年度の外注費には、その取引当時の制度を当てはめます。

令和5年10月1日以後も、免税事業者等からの仕入れについて一定割合を控除できる経過措置や、一定の少額取引について帳簿のみの保存で控除できる特例があります。このため、適格請求書がないという理由だけで仕入税額控除の可否を判断することはできません。

(2)簡易課税は本則課税と計算方法が異なる

簡易課税制度では、課税売上げに係る消費税額を基礎に、事業区分ごとのみなし仕入率を用いて仕入控除税額を計算します。そのため、個々の外注費に係る請求書等の保存が、本則課税と同じ形で仕入控除税額を左右する制度ではありません。

ただし、外注取引自体が架空である場合の所得税・法人税上の問題や、帳簿書類の内容に関する問題がなくなるわけではありません。所得税・法人税と消費税、さらに本則課税と簡易課税を分けて検討する必要があります。

第6章 重加算税は「外注費が否認された」という理由だけで決まらない

(1)国税通則法第68条は隠蔽・仮装を要件としている

過少申告に対する重加算税は、国税通則法第68条第1項により、課税標準等または税額等の計算の基礎となる事実を隠蔽・仮装し、その隠蔽・仮装に基づいて申告した場合に、過少申告加算税に代えて課されます。過少申告型の税率は原則35%です。無申告型では原則40%となります。

(2)虚偽の請求書作成や通謀は重い事情になる

国税庁の「法人税の重加算税の取扱いについて」では、帳簿書類の改ざん、帳簿への虚偽記載、相手方との通謀による虚偽の証ひょう書類の作成、仮装経理などが隠蔽・仮装に該当する例として示されています。また、費用を過大または架空に計上して帳簿から除外した資金についても、不正事実との関係が整理されています。

(3)単なる誤りや証拠不足と区別する

一方、外注費の計上に誤りがあったことや、資料が十分に残っていないことだけで、直ちに隠蔽・仮装があったことになるわけではありません。国税庁の法人税の重加算税に関する事務運営指針でも、相手方との通謀や証憑の破棄・隠匿・改ざん等によらない一定の期ずれや勘定科目の誤りについて、帳簿書類の隠匿・虚偽記載等に該当しない例が示されています。

したがって、外注費の否認額と、重加算税の対象となる税額は分けて検討する必要があります。取引実態の説明が不十分だから経費として認められないという問題と、虚偽の事実を作り出したという問題は同じではありません。

なお、過去5年以内に同じ税目について一定の加算税を課されたことがある場合や、一定の無申告を繰り返している場合などには、国税通則法第68条第4項により、重加算税が10%加重されることがあります。個人についても、申告所得税及び復興特別所得税の重加算税に関する事務運営指針が公表されています。

また、青色申告者では、帳簿書類に関する法定要件や不正の内容によって、所得税法第150条または法人税法第127条に基づく青色申告の承認取消しが別途問題となることがあります。架空外注費の指摘を受けたことだけで、直ちに取消しとなるわけではありません。

重加算税については、税務調査で「重加算税になる」と言われたらもあわせてご覧ください。

第7章 指摘を受けた後に納税者側で行う資料整理

(1)案件・請求単位で時系列表を作る

調査官が何を見るかを確認した後は、納税者側で説明資料を組み立てます。案件名、発注日、作業期間、作業者、業務内容、数量・単価、請求日、支払日、支払方法、成果物、関連メールなどを一行ずつ整理すると、どの取引が説明でき、どこに資料不足があるのかが見えやすくなります。

(2)支払証拠と業務証拠を分けて集める

銀行振込は支払の事実を示しますが、それだけでは業務内容まで示しません。逆に、成果物やメールは業務実態を示しますが、対価をいくら支払ったかは別の資料が必要です。「支払の証拠」「業務の証拠」「金額の根拠」を分け、それぞれを対応させると説明が明確になります。

(3)後から証憑を偽装しない

資料が足りないからといって、当時存在しなかった契約書や領収書を過去の日付で作成し、当時から存在したように見せることは避けるべきです。後日、事実関係を整理するための説明書や一覧表を作成するのであれば、作成日と根拠資料を明らかにし、調査時に作成した資料であることが分かるようにします。

(4)外注先との説明が食い違う場合は原因を確認する

反面調査等で外注先の説明と自社の説明が異なる場合には、どこが違うのかを具体的に確認します。作業者、金額、期間、返金の有無など、争点を分解しないまま「相手が間違っている」と主張しても整理できません。過去のメールや入出金を時系列に並べ、どちらの説明が客観資料と整合するかを確認します。

第8章 修正申告をする前に「何を、いくら、なぜ否認するのか」を確認する

調査官から外注費の否認を指摘された場合には、対象となる外注先、対象年分・事業年度、対象請求、否認額、事実認定の根拠を整理します。「外注費が怪しい」「これは架空だ」という抽象的な言葉のまま判断せず、どの取引について何が存在しないと認定されているのかを確認することが重要です。

国税庁の調査手続に関する事務運営指針では、非違が疑われる事項について納税者・税務代理人の説明や主張を聴取し、証拠を収集した上で事実認定を行うこと、調査結果の説明では税目、課税期間、金額、理由等を説明することとされています。納税者側から新たな証拠が提示され、前提事実が変わった場合には、必要に応じて調査結果の説明を修正する取扱いも示されています。

調査官から修正申告を勧奨された場合でも、応じるかどうかは納税者の任意の判断です。国税庁の税務調査手続FAQでは、勧奨に応じない場合は調査結果に基づいて更正等の処分を行うことになるものの、応じなかったことだけを理由に、応じた場合と比べて基本的に不利な取扱いを受けることはないとされています。

修正申告を提出した場合、その修正申告そのものについて不服申立てはできません。申告税額が過大である場合には、要件を満たせば更正の請求によって是正を求めることになります。

一方、税務署が更正処分を行った場合や、重加算税などの加算税について賦課決定処分を行った場合は、その処分が不服申立ての対象となり得ます。金額が大きい案件や重加算税が争点となっている案件では、修正申告を提出する前に事実認定と税務上の評価を整理することが重要です。

調査中に質問応答記録書への署名を求められた場合は、記載された事実関係が自身の認識と一致しているかを確認する必要があります。記載内容に誤りや不足がある場合には、署名前に訂正や補足を求め、事実と異なる内容をそのまま認めないことが重要です。詳しくは、質問応答記録書とは?署名を求められた場合の注意点で解説しています。

よくある質問

Q1. 外注先の会社が実在していれば、架空外注費ではないと説明できますか?

会社の実在だけでは個々の外注取引の実在性までは確認できません。実際に誰がどの業務を行い、どの金額がその対価なのかを、契約書、メール、成果物、作業記録、入出金などから説明する必要があります。

Q2. 請求書と銀行振込があれば、外注費は認められますか?

請求書と振込記録は重要な資料ですが、それだけで業務実態が確定するわけではありません。外注費の実在性が争われている場合は、発注内容、作業者、成果物、金額の算定根拠、支払後の資金移動なども含めて確認します。

Q3. 外注費の一部が水増しなら、外注費全部が否認されますか?

一部に実際の業務と合理的な対価があるのであれば、その部分と水増しが疑われる部分を分けて事実確認する必要があります。どこまでが実際の役務の対価なのかを、数量、単価、作業記録、成果物などから具体的に整理することが重要です。

Q4. 外注費が否認されたら重加算税も課されますか?

外注費が否認されたことだけで重加算税が決まるわけではありません。重加算税は、課税標準等や税額等の計算の基礎となる事実の隠蔽・仮装があり、それに基づいて申告した場合等に問題となります。虚偽の証憑作成や帳簿の改ざんなどがあるかを分けて確認します。

Q5. 外注費が所得税や法人税で認められれば、消費税の仕入税額控除も認められますか?

同じ結論になるとは限りません。本則課税では実際の課税仕入れに加えて、その取引時期に応じた帳簿・請求書等の保存要件を確認します。令和5年10月1日以後も経過措置や特例があり、簡易課税では計算方法も異なります。

Q6. 税務調査で架空外注費と言われたら、すぐ修正申告した方がよいですか?

まず、どの取引を、いくら、どの事実を根拠に否認しているのかを確認し、手元の資料と照合することが重要です。修正申告の勧奨に応じるかは納税者の任意です。提出後は修正申告そのものに不服申立てができないため、事実関係と税務上の評価を整理してから判断します。

まとめ:外注費の実態を「取引単位」で分けて確認する

外注費を架空・水増しと指摘されたときは、外注先が存在するかという一つの事実だけで判断せず、実際の業務、対価、支払、資金の流れを取引単位で整理することが重要です。取引そのものが存在しない場合、業務はあるが金額が水増しされている場合、資料が不足している場合では、税務上の評価も対応も異なります。

さらに、所得税・法人税の経費・損金、消費税の仕入税額控除、重加算税の隠蔽・仮装は、それぞれ要件が異なります。調査官から指摘を受けた場合には、対象取引と否認額、事実認定の根拠を具体化し、既存資料から時系列で取引を復元した上で対応を検討してください。

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引用・参考文献

この記事を書いた人

市田佳祐(いちだ けいすけ)
税理士。市田税理士事務所代表(大阪市)。平成23年に大阪国税局入局後、令和5年6月まで国税職員として勤務し、同年8月に税理士登録(登録番号151935、近畿税理士会所属)。大阪国税局では資料調査課にて国際課税や富裕層に対する調査事務に従事したほか、総務課、個人課税課において税務行政に関する事務に従事。1級FP技能士。
共著に『質問応答記録書のポイントと税理士の対応策』(税務研究会出版局、2025年12月)、『税務弘報』2026年3月号(中央経済社)に寄稿。