輸出免税の指定書類とは?|令和8年10月改正と郵便輸出の注意点を解説

著者:市田佳祐(税理士・元国税調査官)

「令和8年10月から、輸出免税の証明書類が増えたと聞いた」
「海外の取引先から輸入許可書を取り寄せる必要があるのか」
「EMSで発送した場合、税関告知書のコピーでもよいのか」

輸出を行う事業者にとって、消費税の輸出免税は重要な制度です。一方、令和8年10月1日から証明書類に関する要件が見直されたため、従来と同じ書類の保存で足りるか迷うケースが考えられます。

私は大阪国税局で個人課税や富裕層に対する調査事務に従事した後、税理士として税務調査に関する相談や国際取引の税務に携わっています。この記事では、財務省『令和8年度税制改正の解説』を軸に、指定書類の内容と郵便輸出の実務を整理します。

結論:指定書類が必要なのは現金決済など一定の輸出取引

令和8年10月1日以後に行われる輸出としての資産の譲渡・貸付けで、その対価を現金で受領する場合や、取引相手が支払った事実が明らかでない方法で受領する場合には、従来の輸出証明書類に加えて「指定書類」の保存が必要です。すべての輸出取引に追加される要件ではありません。

指定書類とは、仕向国での輸入の事実を税関等の行政機関が証明した書類で、所定の5項目を備えるもの又はその写しです。一定の郵便輸出では、税関告知書(CN22・CN23)の写しと、日本郵便の追跡情報による代替も認められます。ただし、無条件で認められるわけではありません。

この改正は取引の実在性を確認するための証明要件の見直しです。財務省の解説では、現金決済や追跡が難しい決済手段を利用した輸出取引に関し、相手方や取引価額を事後的に検証できない問題が背景として挙げられています。

この記事でわかること

  • 令和8年10月から追加された指定書類の保存要件
  • 現金決済・第三者送金・銀行振込の取扱い
  • 仕向国の輸入許可書等に必要な5つの記載事項
  • EMS・国際郵便の税関告知書と配達記録の保存方法
  • 指定書類が発行されないときの例外と実務上の対応

第1章 令和8年10月の輸出免税改正で何が変わったのか

(1)従来は日本からの輸出を証明する書類が中心

消費税法第7条は、一定の輸出取引について消費税を免除する制度を定めています。輸出免税の適用には、輸出許可書、郵便物の引受書類、発送伝票など、取引区分に応じた書類を整理し保存する必要があります。

例えば一般の貨物では税関長から交付される輸出許可書、20万円以下のEMS郵便物では日本郵便の引受けを証する書類と所定事項を記載した発送伝票等の控えが基本です。この従来からの要件は、今回の改正後も残ります。

(2)一定の決済方法では仕向国の輸入も証明する

改正後は、現金等で対価を受領する一定の輸出取引について、日本から「輸出したこと」に加え、仕向国で「輸入されたこと」を示す指定書類の保存が求められます。したがって、輸出許可書だけを保存しても新要件を満たさない場合があります。

区分 保存する書類
従来の要件 輸出許可書、郵便の引受書類等(取引の種類に応じて異なる)
令和8年10月からの追加要件 現金等による受領に該当する場合、仕向国での輸入を証明する指定書類

なお、今回の見直しが対象とするのは、消費税法第7条第1項第1号の「輸出として行われる資産の譲渡又は貸付け」です。国際輸送や非居住者向け役務提供など、輸出免税に関係する取引すべてを対象にした追加要件ではありません。

また、令和8年11月1日からの外国人旅行者向け免税販売に係る「直送」についても、現金等で対価を受領して輸出免税を適用する場合には指定書類の保存が必要です。この「直送」は、一般の郵便輸出とは異なる販売方式です。

第2章 調査官が重点的に確認するポイント

(1)契約上の販売先と実際の支払者

契約書や請求書に記載された買主と、銀行口座に記録された振込人が一致しているかは重要です。異なる名義から入金された場合には、支払代理、保証、決済代行などの契約関係を確認し、誰の支払であるかを説明できるようにします。

(2)輸出許可書と商品の対応関係

輸出許可書、インボイス、売上帳簿、物流記録の間で、品名・数量・金額・仕向地に矛盾がないかを確認します。輸出した貨物と販売した商品との対応が不明確な場合、書類を保存していても取引内容の追加説明が必要になり得ます。

(3)指定書類が必要な決済かどうか

現金決済なのか、取引相手本人による銀行振込が明らかなのか、第三者による支払なのかを取引ごとに整理します。契約では銀行振込と定めていても、実際に現金等で受領した場合には指定書類が必要となります(消費税法基本通達7-2-25)。

(4)税務調査に備える際の視点

私が大阪国税局で調査事務に従事していた経験から言えば、単一の書類だけでなく、契約、請求、入金、輸送の記録を組み合わせて取引の整合性を説明できるかが重要です。これは本改正に限らない一般的な調査対応上の視点です。

預金の入出金がどのように確認されるかについては、税務調査で通帳はどこまで見られるかでも説明しています。

第3章 指定書類が必要になる決済方法と例外

(1)現金決済や第三者からの入金

消費税法基本通達7-2-24は、現金受領を銀行券、政府紙幣又は硬貨による受領と説明しています。また、取引相手以外の者から金融機関を通じて送金され、その者が代金の支払義務を負うことも明らかでない場合には、原則として指定書類の保存対象となります。

決済例 指定書類の判断
買主から現金を直接受領 原則として必要
買主本人の振込であることが金融機関等の記録から明らか 原則として不要
買主以外の第三者から送金を受け、その者に代金の支払義務があることも明らかでない場合 原則として必要
保証人・連帯債務者等、代金の支払義務を負うことが明らかな者から金融機関を通じて受領 第三者名義による入金という理由だけでは原則として不要
買主又は保証人等から現金を直接受領 原則として必要
交換業者を介さず暗号資産を受領、又は商品券で受領 原則として必要
同じ取引相手に係る債権債務の相殺で、対応関係が明らか この理由による追加保存は不要

第三者からの入金であっても、保証人や連帯債務者など、代金を支払う義務があることが明らかな者から金融機関を通じて受領する場合には、第三者名義という理由だけで指定書類の保存対象にはなりません。

ただし、保証人や連帯債務者からの受領であっても、現金で受領する場合には別途指定書類の保存が必要です。これは、現金による受領と、支払者が明らかでない方法による受領が、それぞれ独立して規定されているためです。

(2)一部を現金で受け取る手付金の例外

取引対価の一部だけを現金等で受領した場合も、原則は指定書類の保存対象です。ただし、契約等に基づく手付金等として一部を現金で受領し、対価の大部分を相手方からの支払が明らかな方法で受領する場合には、指定書類の保存を要しない取扱いが認められています。

この例外は「現金の割合が少なければ一律に不要」という意味ではありません。手付金としての契約関係と、残額の決済記録を併せて残すことが重要です。財務省『令和8年度税制改正の解説』855ページ及び消費税法基本通達7-2-24の注記に、この例外が示されています。

(3)PayPal・Alipayなどの電子決済

電子決済サービスの利用だけで、指定書類の要否を一律に判定することはできません。契約相手が支払った事実を決済事業者等の記録から確認できるか、口座名義や決済経路がどうなっているかが判断材料になります。

例えばPayPal、Alipay、WeChat Payなどの決済記録に買主のアカウント名が表示されていても、その表示名だけで実際の支払者が買主であると証明できるとは限りません。

資金移動業者等を利用しているだけで、消費税法基本通達7-2-24のいう「金融機関等の記録」により支払者が明らかであると判断できるとは限りません。特に法人の輸出代金を代表者個人名義の口座で受領する場合や複数顧客の代金をまとめて受領する場合には、実際の支払者を特定できる資料に加え、法人の販売代金として受領したことを示す契約書、注文記録、決済明細等を保存してください。判断が難しい場合は指定書類の取得も検討します。

なお、これらの決済サービスについて、利用方法ごとの指定書類の要否を一律に判断できる国税庁の公式な取扱いは確認できていません。個別の決済の仕組みと証拠資料に基づく検討が必要です。

海外送金に係る確認資料については、海外送金と税務署の確認も参考になります。

第4章 指定書類とは何か|輸入許可書等の5つの記載事項

(1)仕向国の行政機関が輸入を証明した書類

指定書類は、仕向国の税関その他の行政機関が、その国での輸入の事実を証明した書類又はその写しです。根拠は消費税法施行規則第5条第1項第1号及び令和8年国税庁告示第1号です。

書類の名称だけで決まるものではなく、記載内容が重要です。告示では、次の5事項を求めています。

  1. 税関その他行政機関の名称
  2. 輸入年月日
  3. 輸入した資産の内容
  4. 輸入した資産の金額
  5. 書類の交付を受ける者の氏名又は名称

相手国の輸入許可書や税関の証明書を入手した場合は、この5項目を点検します。例えば「通関済み」と記載されていても、資産の内容や金額が不明な書類については、そのままで指定書類の要件を満たすと断定できません。

(2)写しや電子データでの保存も対象

告示は原本に加えて写しを認めています。また、改正後の規定は指定書類に係る電磁的記録も対象としています。海外の取引先からPDF等の形で入手する場合には、原本の内容や対象取引を確認できる状態で保存することが重要です。

輸出許可書と指定書類は役割が異なります。日本側の輸出許可書に仕向地が記載されているだけでは、追加要件として求められる仕向国の輸入事実を証明したことにはなりません。

第5章 EMS・郵便輸出では20万円基準にも注意

(1)20万円基準は従来の輸出証明書類の区分

郵便物の価額が20万円を超えるかどうかは、従来から必要とされる輸出証明書類を判定する基準です。指定書類が追加で必要かどうかを判定する「現金等による受領」とは、別の論点です。

郵便輸出の区分 従来からの主な証明書類
20万円超 税関長が証明した輸出許可書等
20万円以下の小包郵便物・EMS 日本郵便の引受書類と所定事項を記載した発送伝票等の控え
20万円以下の通常郵便物 日本郵便の引受書類に品名・数量・価額を追記したもの

なお、20万円の判定に用いる輸出時の資産価額はFOB価格であり、原則として当該郵便物の現実の決済金額(例えば、輸出物品の販売金額)によります。

FOB価格とは、国際貿易取引条件の一つである本船渡し条件の価額です。国税庁タックスアンサーNo.6551の注1に、この取扱いが示されています。

したがって、20万円以下のEMSだから指定書類が不要というわけではありません。代金を現金等で受領した場合には、別途、新要件を検討します。

税関告知書や発送伝票の品名・数量・価額は、実際の取引内容に基づいて適切に記載する必要があります。申告価額と販売価額が異なる場合は、その理由とインボイス等との対応関係を確認してください。価額の不一致だけで直ちに消費税の輸出免税が否認されると断定はできませんが、輸出証明書類の保存要件や仕向国の通関上の問題となる場合があります。

(2)同じ受取人への分割発送にも注意

輸出時の価額が20万円を超えるかは、原則として郵便物1個当たりで判定します。ただし、同一受取人に2個以上に分けて差し出す場合には、それらの郵便物の価額の合計額によって判定します。単純に分割すれば20万円以下になるとは限りません。

越境ECの販売実態と物流資料の突合については、越境EC・輸出入ビジネスの税務調査でも解説しています。

(3)12万円のEMS輸出で考える

例えば、日本から12万円の商品をEMSで輸出した場合を考えます。海外の買主本人からの銀行振込であることが記録から明らかなら、従来の郵便輸出の証明書類は必要ですが、今回の指定書類は原則として不要です。

一方、同じ12万円の商品代金を現金で受領した場合には、従来の証明書類に加えて指定書類の保存が必要です。仕向国で税関告知書だけを用いて通関するなど所定の条件を満たす場合には、通達7-2-26に基づく代替も検討できます。金額が同じでも、決済方法によって要件が異なる点に注意してください。

第6章 郵便輸出では税関告知書の写しと配達記録で代替できる場合がある

(1)税関告知書CN22・CN23とは

税関告知書は、海外へ郵便物を送る際に内容品の名称・数量・価格等を申告する書類です。日本郵便はCN22とCN23の2種類を案内しており、国際郵便マイページサービスでラベルを作成すると、必要な税関告知書が作成されます。

税関告知書を郵便物に添付する場合、発送者は発送前にその写しを保存しておくことができます。一定の条件を満たせば、この写しが指定書類の代替資料の一部となります。

(2)通達が認める代替保存の条件

消費税法基本通達7-2-26(3)は、一定の郵便輸出について、税関告知書と日本郵便の配達記録による代替を認めています。この取扱いを検討する際には、次の条件を分けて確認する必要があります。

① 仕向国での通関方法

仕向地において、郵便に関する条約に基づく税関告知書のみにより通関される場合であることが必要です。

② 輸入時の通知書等の有無

輸入時に納付すべき関税その他の公課があることにより、通知書等が交付される場合は、この代替取扱いの対象から除かれます。

③ 取引相手への到達

税関告知書又はその写しに加え、日本郵便の郵便追跡サービスから取得した配達状況の書類が必要です。その書類は、資産の譲渡又は貸付けの相手方に到達したことが明らかなものに限られます。

④ 指定書類の記載事項

保存する代替書類についても、指定書類に必要な5つの記載事項を満たすことが求められます。

特に注意したいのは、配達年月日と輸入年月日は同じ意味ではないことです。配達完了日を当然に輸入年月日とみなすことはできません。

税関告知書と追跡記録を組み合わせたときに、所定の記載事項を満たしているかを個別に確認する必要があります。特に、追跡記録から分かる日付が配達完了日だけの場合には、輸入年月日の確認資料が不足していないかを点検してください。資料を追加すれば常に代替要件を満たすわけではないため、通関方法を含めた確認が必要です。

したがって、CN22・CN23のコピーと「配達済み」の画面を保存するだけで、無条件に指定書類の保存要件を満たすわけではありません。

(3)発送前・配達後に行う具体的な保存

実務上は、発送時に税関告知書の写しを保存し、日本郵便の引受書類や発送伝票を郵便物番号で紐付けます。発送後には、配達完了を確認できる追跡記録を取得し、同じ郵便物番号の書類と一組で保管する方法が考えられます。

この際、追跡画面が「配達済み」であるだけでなく、取引相手に到達したことを説明できるかも確認してください。取引相手とは異なる倉庫や通関業者に配送した場合には、契約関係等の追加確認が必要になり得ます。

税関告知書は日本郵便の「税関告知書について」でも確認できます。発送を外部業者に委託する場合は、発送時の控えを誰が保存するか、事前に取り決めておくとよいでしょう。

第7章 仕向国の指定書類が発行されない場合の取扱い

(1)認められる代替書類は限定されている

仕向国で輸入許可書が発行されない場合、どのような資料でも代用できるわけではありません。消費税法基本通達7-2-26では、発行されない理由に応じて、次の例を示しています。

  • 自由貿易地域で輸入許可手続がない場合:税関等に提出した輸入申告書の控え
  • 輸入許可が事実のみの通知である場合:輸入申告書の控えと輸入許可済みであることを証する書類
  • 一定の郵便通関の場合:税関告知書等と、日本郵便の配達状況が分かる書類

いずれも指定書類に必要な記載事項を満たすことが前提です。単に取引先から書類の返送がない、連絡がつかない、といった事情だけで代替が認められるわけではありません。

(2)書類の交付先と販売先の名義が異なる場合

仕向国の書類に記載される名義が、商品の買主ではなく、通関業者や物流会社になっている場合があります。

ここで注意したいのは、令和8年国税庁告示第1号が求めているのは「書類の交付を受ける者の氏名又は名称」であり、「輸入者」と同じ概念とは限らないことです。

また、告示では、書類の交付を受ける者と日本側の輸出許可書に記載された相手方の名義が一致することまで、明文で要求しているわけではありません。ただし、名義が異なっていても無条件に認められるという意味ではありません。

物流委託契約、発注書、販売先への引渡記録などを揃え、仕向国で輸入された資産と販売取引との対応関係を説明できるようにする必要があります。個別の結論は取引実態や保存書類の内容によって異なります。

第8章 指定書類を保存できない場合のリスクと実務対応

(1)保存要件を満たさなければ原則として輸出免税を受けられない

輸出免税は、その取引が輸出取引に該当することを法令所定の書類等で証明する制度です。

指定書類の保存が必要な輸出取引について、法令所定の保存要件を満たさない場合には、原則として輸出免税の適用を受けることができません。

ただし、保存要件を満たさないことと、取引自体が架空であることは別の問題です。また、保存不備のみをもって、直ちに重加算税の賦課要件が満たされるものではありません。

輸出免税の適用可否、取引の実在性、加算税の賦課要件は、それぞれ区別して検討する必要があります。

(2)取引ごとに証拠を揃える

輸出事業者は、売買契約書、請求書、輸出許可書又は郵便の引受記録、入金明細、指定書類、海外への配達記録を、取引番号や郵便物番号で関連付けて保存することが考えられます。

国税庁タックスアンサーNo.6551は、輸出免税の証明書類等について原則として7年間の保存を求めています。仕向国の書類は後日取得に時間がかかるため、契約段階で提出協力を取り決めることも有用です。

あわせて、書類を入手する担当者と保存先を定めておくとよいでしょう。取引開始時には海外の買主に輸入許可書等の提供を依頼できるかを確認し、発送時には輸出証明の控えを残し、配達後には必要な追跡記録を取得するという流れが考えられます。電子データで保存する場合は、取引番号や郵便物番号による検索も意識してください。

中古車のように輸出取引と消費税還付が関係する業種については、中古車輸出の消費税還付と税務調査も参考になります。

第9章 適用開始日と改正前後の取引で注意すること

(1)令和8年10月1日以後の資産の譲渡・貸付けから適用

今回の指定書類の追加保存要件は、令和8年10月1日以後に行われる輸出としての資産の譲渡又は貸付けについて適用されます。対象になるかは契約日だけでなく、資産の譲渡等の時期と実際の決済方法を確認する必要があります。

財務省の税制改正解説では、別の改正項目である国内不動産に係る役務提供について契約日を基準とする経過措置が説明されています。これを指定書類の改正にそのまま当てはめないよう注意してください。

(2)実務上の確認順序

まず、取引が国内からの輸出として行う資産の譲渡・貸付けかを確認します。次に、実際の受領方法を調べ、指定書類が必要な決済かを判定します。必要であれば仕向国の証明書類を確認し、郵便輸出に該当する場合には通達上の代替要件も検討します。

制度の開始日以後は、取引前に決済方法と書類入手手段を決めておくと、申告直前になって証明書類が不足する事態を減らせます。

よくある質問

Q1. 令和8年10月以後の輸出では、すべて指定書類が必要ですか?

いいえ。今回の追加要件は、輸出として行う資産の譲渡・貸付けのうち、現金等で対価を受領する一定の取引が対象です。従来からの輸出証明書類の保存要件は別途必要です。

Q2. 海外の買主本人から銀行振込で代金を受領する場合はどうなりますか?

買主からの支払であることが金融機関等の記録で明らかなら、原則として今回の指定書類の追加保存対象には該当しません。振込名義や入金経路が不明確な場合は、別途確認が必要です。

Q3. 20万円以下のEMSなら、指定書類は不要ですか?

いいえ。20万円基準は主に従来の輸出証明書類の区分に関するものです。20万円以下のEMSでも、代金を現金等で受領した場合は指定書類の要否を検討します。なお、20万円の判定に用いる資産価額は原則としてFOB価格です。

Q4. 税関告知書のコピーは発送時に保存してもよいですか?

一定の郵便輸出では税関告知書又はその写しの保存が認められます。ただし、日本郵便の配達記録と組み合わせ、仕向国での通関方法、取引相手への到達、指定書類の記載事項など、通達7-2-26の条件を満たす必要があります。

Q5. 日本郵便の追跡画面で配達済みなら、それだけで足りますか?

いいえ。郵便輸出の代替取扱いでは税関告知書又はその写しも必要です。さらに、取引相手への到達が明らかであることや、所定の記載事項を満たすことを確認してください。配達完了日を当然に輸入年月日とみなすことはできません。

Q6. 仕向国で輸入許可書が発行されない場合はどうすればよいですか?

自由貿易地域や一定の通知方式、所定の郵便通関など、消費税法基本通達7-2-26に掲げられた場合は代替書類による取扱いがあります。単に書類を入手できないだけでは代替が認められるとは限りません。

まとめ:指定書類の要否は決済方法と保存書類を分けて判定

令和8年10月1日から、一定の現金決済等による輸出取引では、従来の輸出許可書等に加えて仕向国での輸入事実を証明する指定書類の保存が必要です。銀行振込だから一律に不要、20万円以下の郵便だから不要という整理ではなく、取引相手の支払が明らかかを確認します。

一定の郵便輸出では、税関告知書の写しと日本郵便の配達記録による代替も可能ですが、通関方法、取引相手への到達、所定の記載事項などに条件があります。

指定書類の保存要件を満たさなければ、原則として輸出免税の適用を受けられません。発送時から必要書類を揃えておくことが実務上の対策となります。

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引用・参考文献

この記事を書いた人

市田佳祐(いちだ けいすけ)
税理士。市田税理士事務所代表(大阪市)。平成23年に大阪国税局入局後、令和5年6月まで国税職員として勤務し、同年8月に税理士登録(登録番号151935、近畿税理士会所属)。大阪国税局では資料調査課にて国際課税や富裕層に対する調査事務に従事したほか、総務課、個人課税課において税務行政に関する事務に従事。1級FP技能士。
共著に『質問応答記録書のポイントと税理士の対応策』(税務研究会出版局、2025年12月)、『税務弘報』2026年3月号(中央経済社)に寄稿。